庭が結ぶ、風と光と、家族時間。
佐賀市 F様邸
家づくりは巡り合い
十一月初旬にお伺いしたF様邸は、家の周りを花や木々が縁取る小さな平屋。玄関を開けると、クリスマスの可愛らしい小物たちが迎えてくれました。
この家に辿り着くまでに、十数社もの住宅メーカーを回ったF様。
打ち合わせしていく中で、「自分たちは、どういった家に住みたいのか。本当に今、進めている家づくりでいいのか。」
心の片隅にある不安と自問自答を繰り返し、もう一度スタートラインに戻ってみようという思いで、奥様お一人で未来工房を訪れたといいます。「初対面の私にスタッフの田中さんが、建築家の中村好文さんや、堀部安嗣さんの本を紹介してくれました。すぐに図書館で借りて読むと、内容がストンと入ってきて、『まさに私が求めている暮らしだ』と、自分の根底に眠っている感性が湧き上がってきたのを覚えています。」
後日、現地でスタッフと一緒に周辺環境や景色の見え方を確認し、それを元に出来上がった手描きのプランには、小さな平屋に、スキップフロア、ロフト、庭とつながるウッドデッキと遊び心がたくさん。「家を囲むように庭もあり、そこでの暮らしを想像するとワクワクしました。そのワクワクが今は現実となり、暮らしのそばにはいつも緑があって、家と同じように植栽や畑までも愛おしくて、心穏やかな暮らしができています。」
以前お住まいだったマンションの暮らしから大きく変わった庭との繋がり。
「どこかに行かなければ体験できなかった自然も、今は庭と一体化した家で、日々感じることができるようになりました。」
目隠しのウッドフェンスは、圧迫感がないように下の部分を開けて小さな花壇で縁取りられ、家族で畑や庭の手入れをしたり、デッキで朝ごはんを食べたり、庭でバーベキューをしたり、気軽にできるといいます。
この日は娘さんが、お庭に植えてある木や花の名前を教えてくれながら、家の周りをぐるり案内してくれました。
「最後まで迷ったけれど、前の家と変わったことがしたくて」と導入した薪ストーブは、今やご主人のライフワーク。一年目はなかなか薪ストーブの温度が上がらず、思ったようにいかなかったようですが、「薪ストーブの会に参加したり、OBさんのお宅を訪問して、薪の割り方や焚き方を聞いたり。難しい分、楽しいですね!去年との違いを確認しながら常に勉強です。」奥様もゆくゆくは、火入れをしたいという。「薪の入手など、経験したことがなくて大変だけど、楽しいですよ。そろそろ軽トラックが必要かな」と、ご夫婦で笑い合います。
設計時にリクエストした、未来工房らしい遊び心のある場所は、ロフトという形で組み込まれました。
スキップフロアからハシゴで登るロフトには、屋根の勾配を活用した収納と畳敷のスペース。よく家族で作るというネイチャークラフトがたくさん並び、下から荷物を運ぶためロープで吊るされたバックなど、秘密基地のようなワクワクする場所になっています。
脱衣兼洗濯室とすぐ隣にあるファミリークロークは、乾燥機から収納の動線がコンパクトでとても便利で家事が捗るという奥様。
コンパクトな平屋に、効率よく各部屋がレイアウトされ、家のちょうど真ん中にある洗面所には、天窓があり優しい光が差し込みます。
娘さんは、学校から帰ると、スキップフロアの階段に腰掛けて本を読むのがルーティン。三段のステップは、平屋暮らしに軽やかなリズムを与えてくれます。
とんとんとん。ステップを上がる音は、日常に溶け込みながら、我が家らしさをつくる欠かせない要素。Fさんのおおらかに自然を楽しむ暮らしのひとさじをみなさんへ。