自然素材という選択
Material
はじまりは幼稚園
1997年、未来工房が工務店として最初に手掛けた建物は、福岡県久留米市にある「だいぜんじ幼稚園」の園舎でした。園長先生の「園児にやさしく、安全な環境をつくりたい」という思いを受け、自然素材を探すことからスタート。塗装には化学系ワックスやペンキを使わず「植物性のオイル」を使用。構造材や床、ドアに至るまで「無垢の木」にこだわりました。以来、住宅はもちろん、クリニックや薬局、美容室などの施工も行ってきましたが、全ての建物に「本物の自然素材」を使用しています。まさに、未来工房の家づくりの原点がここにあります。
忘れていませんか?シックハウス症候群のこと。
シックハウス症候群とは、住宅の高気密化や化学物質を含む建材・内装材の使用による室内の空気汚染が原因で起こる健康被害。揮発した化学物質が家の空気にこもると発症してしまう危険性があるため、2003年7月建築基準法でそれ以降建築されるすべての建物に24時間換気システムを設置することが原則義務化されました。はたして、これは万全な対策なのでしょうか?
家は生活の基盤、一番長い時間を過ごす場所。家を作る材料そのものを見直し、選ぶことが大切だと考えます。
健康を第一に考えるから、脱・新建材
高度成長期において石油化学工業が発展する中、資源の少ない日本では、他国では類を見ない工業製品での家づくりが行われてきました。細かく書かれた食品成分の表示とは対照的に、住宅に使われる建材には、製造者がその素材や成分を表示する義務がないのが現状です。
私たち未来工房は、少なくとも建材に含まれる化学物質を極力減らしていくことは、建築会社の重要な使命だと考えています。だから、合板やビニールクロスは一切使いません。そして、このような大事にすべき素材をお客様によって変えることはありません。これは、創業当時から変わらない、未来工房の家づくりに対する姿勢です。
自然素材の力を家づくりに
住み心地の良さと長持ちする家づくりに、大きく長く関係するのは、高温多湿の九州では特に重要な「湿度」。一般的に快適な湿度は40%〜60%といわれています。未来工房の家は、本物素材が持つ力で湿度をコントロール。ゆっくりと家全体が呼吸しつづける家です。高温多湿の九州の気候には、工業製品ではなく、無垢の木と羊毛断熱材が適しているのです。さらに、それらを最大に活かす塗料や乾燥方法を選択しています。
無垢の木
一口に木の家といっても、使用する木材には違いがあります。接着剤で貼り合わせた集成材や合板と、丸太から切り出した無垢の木。素材の力を最大限に発揮するのは、やはり無垢の木です。
無垢の木
用途にあわせて原木から切り出したそのまま。後から削っても、下からあらわれるのは本物の木です。
集成材・合板
木材特有のねじれや曲りを軽減し、強度を出すため、板状にした木材を接着剤で貼り合わせたもの。※日本の建築基準法(国交省)では、規制化学物質は2種類のみ、厚労省による指針が別途13種類設けられています。これは、化学物質庁が置かれるEUとは、化学物質使用の制限に大きな差異があると言えます。
家の「居心地」を科学する ―健康―
医学的な観点から、無垢の木の家が居住者の健康状態に与える影響を明らかにする、健康維持増進に関する研究の調査を、共同で行っています。
東 賢一 あずま けんいち(近畿大学医学部准教授)
博士(工学)・近畿大学医学部准教授。著書・監修に『住居医学(Ⅳ)』(米田出版)、『建築に使われる化学物質辞典』(共著・風土社社刊)、など。専門分野は、環境保健、環境リスク、室内空気汚染。主に生活環境中の化学物質や微生物による健康影響の研究に携わる。
家の「居心地」を科学する ―心理的効果―
文部科学省では、公立学校の施設整備における木材利用を推進しています。児童生徒などが一日の大半を過ごす活動の場を、やわらかで温かみのある感触、高い吸湿性などの性質を持つ木材でつくることは、豊かな教育環境づくりを行う上で大きな効果が期待できるとしています。もちろん、人が長い時間を過ごす家も同様です。
集中力アップ
足元の冷えは倦怠感や眠気を催し、作業能率が低下。
木材床よりコンクリート床で過ごした場合の方が、「眠気とだるさ」「注意集中の困難さ」を訴える割合が高くなっています。
情緒の安定
心理・情緒面では、木造校舎はリラックスでき、快適と言われます。情緒不安定性に係る各項目において、RC造より木造の方が低い傾向があることを示しています。
香りでリラックス
2つの同じ部屋の、1つは杉材を壁に貼り、作業中のストレス指数の物質(アミラーゼ)の活性化を計測。杉材なしではアミラーゼが上昇し、杉材ありはアミラーゼは低下する傾向にありました。
アミラーゼは強いストレスを受けるほど活性が高くなると考えられており、杉材から揮発した匂いがストレスを抑制したものと解釈されます。
1/fのゆらぎ
自然界に存在し、人間の細胞が発する信号のリズムにもなっている、1/fのゆらぎ。
機械で作られた工業製品にはまったく存在しません。
音をまろやかに
木材は、音を適度に吸収してまろやかにし、心地よく感じる範囲に調整してくれます。木材を使った部屋は「音がいつまでも響かず適度に反射する」ので音が聞きやすいといわれています。
燻煙熱処理木材
山の斜面に立つ木が、成長するときに傾斜や風、重力に耐えながら、上に真っ直ぐに伸びようとする成長応力。成長応力は伐採後にも残留し、建築の木材になったときに反りや曲りとして表れてきます。
そういった木材内のストレスを緩和し、木質改善を行うのが熱処理方法です。木、本来が持っている湿度調節や消臭機能が高まり、シロアリにも強い木材になります。
未来工房では、床下の土台、大引きから柱や梁、桁の構造材全てに燻煙熱処理を施した熊本県産材「球磨杉・檜」を採用しています。
木は、湿気を吸ったり吐いたりして、人が心地よいと感じる湿度40〜60%に保ってくれますが、燻煙熱処理材は木の細胞を壊しにくい処理のため、さらに調湿効果が高くなっています。ぜひ、心地よい空気感をモデルハウスでご体感ください。
また、燻煙熱処理の仕組みや効果など、詳しくはスタッフに尋ねてみてくださいね。
羊毛100%断熱材「エコール」
家の中と外の気温差で起こる結露。実は、壁の中でも同じように発生しています。
壁の中で、逃げ場のなくなった水分が溜まり、恐ろしいことに知らないうちに構造材や土台を腐らせてしまうこともあります。家が建ったら見ることができない壁の中だからこそ、未来工房は、羊毛100%断熱材を選び、メーカーと共同で改良改善を重ねました。
天然100%の羊毛には、断熱効果はもちろん、すぐれた調湿作用があります。壁の中で呼吸しながら湿度をコントロールし、結露が家の土台を腐らせるのを防ぎます。
壁の中を乾燥した状態に保つことは、長持ちする家づくりには欠かせない大切なことです。
家の「寿命」を科学する ー壁の中の調湿ー
未来工房の家は、外周壁と、一階の床下に羊毛100%断熱材を敷き詰めています。高温多湿な気候の北部九州で家を建てるときに大切なことは、特に、調湿・温熱・長寿命のバランスです。壁の中を調湿するために、敢えて気密シートを用いず、羊毛と無垢の木の調湿性能を最大限生かしています。
ゆっくりと水分が吸放湿され、壁の中に水分が溜まらないつくりになっています。
未来工房の家の壁の中
築後17年経過した壁の中。羊毛・木材とも結露した様子はありません。
高い難燃性
羊毛は飛行機の内装に使用されているほど難燃性の高い繊維。着火しても繊維が炭化し、合成繊維のように溶解しないので、火傷や延焼、煙の発生が少なく、有毒ガスの危険性も少なくなります。
施工時の安全性
グラスウールやロックウールの施工とは異なり、防塵マスクや手袋、特別な作業着は必要ありません。安心して施工できる断熱材です。